クロススプレッドを時系列で読むための配置図
この記事では、フルデッキカードを使ったクロススプレッドの展開方法を解説しています。
前回までの記事の応用編として、スリーカードスプレッドの「現在」の位置の上下にカードを一枚ずつ増やし、クロススプレッドとして読んでみることにしましょう。
(カードを開く順番や解釈には様々なものがあります。ここでご紹介するのはあくまでも一例です)
質問②:今の仕事に伸び代はある?このまま会社に居続けたらどうなる?(営業事務・女性)
Q. 現在の会社に不満を感じています。理由は女性が軽視されがちな職場であること、給与待遇面で不足があることです。転職も考えましたが、今ひとつ踏ん切りがつきません。このままこの会社に居続けた場合、私に伸び代はあるのでしょうか?
こちらのご質問者様は、「現状には不満を感じているものの、今すぐに転職などのアクションを起こすつもりもない」といった状況に置かれているようです。
この場合、カードへの質問の仕方としては「転職すべきかどうか」を問うのではなく、「このまま行ったらどうなるのか」を問いかけてみて経過を推理する のが一番読みやすい方法だと思います。
上記の配置図に従い、クロススプレッドでカードを展開してみました。
カードの配置は、左から「過去」「現在」「未来」、中央上が「顕在要素」、中央下が「潜在要素」という風に読んでいきます。
① 過去: 愚者(逆)
② 現在: カップ9(正)
③ 未来: 月(正)
④ 顕在要素: ペンタクルクイーン(逆)
⑤ 潜在要素: ワンド2(正)
クロススプレッドの読み方と着目ポイント
①~③ 質問者が置かれている過去・現在・未来の状況を読む
④⑤ 表面に現れている事柄・隠れている問題点や重要なヒントなどを読む
★ 真ん中の縦軸(対応策のための推理ポイント)を見て総合判断する
一枚ずつ順番に読んでいきましょう!
【過去:愚者(逆)】
過去の位置に大アルカナが出ていることに着目してください。
この質問においては「過去の状況」が重要なポイントであるようです。
① 愚者のカードの背景には黄色が使われています。黄色は希望や繁栄を表わし、ご質問者様は過去、それほど切羽詰まった状況にはなかった様子が読み取れます。
② 愚者の視線は斜め横を向いており、しっかりと定まってはいません。ご質問者様の社内における立場も「人の思惑に翻弄されてばかりで、なかなか定まらなかった」ことが伺えます。
③ 愚者のカードは逆位置です。カードが示す「自由気ままな状態」が、ご質問者様にとってはあまり心地よいものではなかったことが推測されます。
……以上のことから、ご質問者様は過去、比較的気楽な立場で仕事をしていたことが分かります。ただし、それはご本人の伸び代を潰す(力を発揮できない)こととイコールだったのではないでしょうか。
女性が軽視されがちな職場だということで、おそらく男性優位の社風なのでしょう。そのためあまりやりがいが感じられず、不満を抱いてしまったことが読み取れます。
【現在:カップ9(正)】
① カップのカードは感情の充足や共感を表わします。9という数字の意味する所(結果・向上)から、何か気持ちの中で高まることがあったり、向上できるポイントが見つかったりしたのかもしれません。
② カップ9のカードの背景には黄色が使われています。この色合いから、現在のご質問者様が置かれている状態は、過去から引き続きあまり切羽詰まったものではない様子が伺えます。
③ 描かれた人物は正面を向いています。社内の人々とは無関係に、ご本人に関することで何か感情的に喜ばしい出来事があったと思われます。
④ カップ9のカードは正位置です。上に同じく、現在は比較的スムーズな環境にあると思われます。
……以上のことから、ご質問者様は現在も引き続き、あまり切羽詰まった状況には置かれていない様子が伺えます。現在は何か仕事に関してモチベーションが高まるような出来事があったのかもしれません。
(この後、現在の位置の上下に出した④⑤のカードも合わせて総合的にリーディングします)
【未来:月(正)】
未来の位置に大アルカナが出ていることに着目してください。
この質問においては、先ほどの「過去」と「未来の状況」が重要ポイントであるようです。
① 月のカードの背景には水色が使われています。この色合いから、ご質問者様は今後、職場の中で精神性に重きを置いて行動することになりそうです。
② このカードには人物らしい人物は描かれておらず、月の中に横向きにうつむく人影があるばかり。そのことから、ご質問者様はこの先、見えない人影に煩わされるような「不安な心理状態」に置かれることになりそうです。
③ 月のカードは正位置です。このカードが暗示する不安な状態は、ごく自然な成り行きの中から発生しそうです。
……以上のことから、ご質問者様はこれまでの「比較的気楽だった状態」から「焦りや不安を感じる状態」へと移行していく可能性が高いでしょう。
ご質問が「この会社に居続けた場合、この先伸び代があるのかどうか」ということですから、その答えは「あまり期待できない」というのが妥当ではないでしょうか。
見えざる敵(足を引っ張る人物)が登場したり、焦りを感じてザワザワしたりするのかもしれません。
月のカードは「恐れを乗り越えた先に導きがある」ことを示しており、現状維持ではなく(転職も含めた)変化を促されていることは確かでしょう。
【顕在要素:ペンタクルクイーン(逆)】
① ペンタクルのクイーンのカードが出ているので、ご質問者様は現在、目の前にある現実的な事柄(この場合は現在の仕事を指していると思われます)を維持しようと一生懸命になっているようです。
② このカードの背景には黄色が使われています。過去~現在の位置のカードと同じく、表向きは比較的平和な状態が続いていると思われます。
③ ペンタクルのクイーンの顔は横向きに自分の手元を見つめており、現在のご質問者様が「周囲の人々に対して常に手を尽くしている」状態であることが読み取れます。
④ このカードは逆位置です。ご質問者様は、現在の状態を維持するために相当なストレスを感じているものと思われます。
……以上のことから、表面にはっきり表れている要素として、ご質問者様が「周囲への気遣いばかりにエネルギーを取られてしまい、有能な働きぶりをうまく発揮出来ない状態」(だからこそ現状が不満)であることが読み取れます。
【潜在要素:ワンド2(正)】
① ワンドのカードは情熱や行動力といったものを表わします。2という数字の意味する所(調和・バランス)から、ご相談者様の心の奥底で、何か「目的意識」のようなものが定まってきたのかもしれません。
② ワンド2のカードの背景にはグレーが使われています。この色合いから、ご本人が抱いている情熱が「世俗(現実)的な事柄」に関するものであることが分かります。
③ 描かれた人物は横を向いています。ご本人が抱いている情熱は「対人面に関係していること」であると読み取れます。
④ ワンド2のカードは正位置です。どうやらこの情熱(目的意識)は「将来的に大いに期待できるもの」であるようです。
……以上のことから、ご本人の内面で「今後はこんな風に仕事をしていきたい」といった目標が見えてきたのではないかと推察されます。
それが潜在的な要因となっているからこそ、働き甲斐のない現在の職場に対し、強い不満を感じているのだと思われます。
このリーディングのまとめ(総合解釈)
過去⇒現在⇒未来の流れから推察する
ご質問者様の働きぶりは、これまでぬるま湯の中に漬かっているような状態だったようです。
ただし、それは男性優位の社内に置いて「女性には賢さなど求められていない(愚者・逆)」という空気を読んでそうせざるを得なかっただけ。伸び代があるのかどうかを知りたいという向上心の強いご質問者様にとって、この状態はかなりのストレスだったかもしれません。
現在はモチベーションが高まっている状態のように見受けられますが、それはご本人の内面的なことであり、とくに社風が改善されたという訳ではないようです。(カップ9・正)
この状態のまま行くと、いずれ誰かの不愉快な言動により、心理的に圧迫されるような状態(月・正)に移行してしまうものと思われます。
結果的に、「このまま居続けた場合、あまり良い状態で働くことはできない。むしろやりがいを求めるほどに失望していく」という答えが導き出されます。
顕在要素・潜在要素から推察する
ハッキリと現れている要因として、女性であるがゆえに有能さを押さえて働いている(ペンタクルクイーン・逆)ことが挙げられます。これはお寄せ頂いたご質問にもある通り、ご自身も強く自覚している状態です。
そしてそう感じるに至った背景として、ご質問者様の中で「将来への目的意識」が定まってきた(ワンド2・正)ことが挙げられます。おそらくご本人的には「もっと仕事に手ごたえを感じたい」と思っているのではないでしょうか。
対応策の推理ポイントと全体像を見て結論を導き出す
この縦軸を見ると、心の中で「強い目的意識」を抱いているために、現在の働き方(おとなしく社風に従う状態)に不満を感じているご質問者様の様子が浮かび上がります。
この状態のままいくと、次第に周囲との気持ちの溝が深まってきてしまうでしょう。ご本人ももっとステップアップしたくなり、社内の人々もそれを感じ取るものと思われます。それがいずれはパワハラのような、感情がザワつく事態を招くことに繋がる可能性も……。
結論として、ご本人が「今後の伸び代」を望むのであれば、この会社に長くいることはあまりおすすめできません。
今から準備を始め、タイミングを図って転職するのが最も良い方法ではないでしょうか。(潜在要素の位置に出たカードの数字が2ですから、そんなに焦らずじっくりと転職活動を進めていって大丈夫です)
今すぐ、となるとなかなか思い切れませんが、「いずれこの会社にいるのが嫌になる時がくる」と考えて、事前に準備を進めていくのがベストではないかと思います。
※今回、リーディングサンプルとして「三毛猫ドルチェ」さまにご質問をお寄せ頂きました。
ご協力頂きました「三毛猫ドルチェ」さまに心より御礼申し上げます!
(大変お待たせしてしまって本当にごめんなさい……^^;)
※本コンテンツの無断流用等は固くお断りさせて頂きます。