今回ご紹介するのは、ある日のミディアムシップ・デモンストレーションの実習中に、たまたま私が通信を取ることになった70代くらいのおばあ様の霊のお話です。
そのおばあ様がメッセージを伝えたかった相手……それは私が久しぶりに再会した、一緒にミディアムシップを勉強しているクラスメイトの女性でした。
デモンストレーション終了後に彼女(ここではCさんとさせて頂きます)が語ってくれた話を聞いて、私はしばらく涙を止めることができませんでした。
おばあ様がなぜここに登場したのか、なぜ彼女にメッセージを伝えたかったのか。その詳細についてCさんより掲載許可を頂きましたので、ここに謹んでシェアさせていただきます。
(※ミディアムシップ・デモンストレーション……会場にいる人々の亡くなったお身内と通信を取る公開霊視のようなもの。どんな故人の方が現れるかはやってみるまで全然分かりません)
現れた女性の後ろに重なって見えていた不思議な光景
私が学んでいるクラスでは、時々ミディアムシップ・デモンストレーションの実習をすることがあります。その日も順番が回ってきた私は、前に出てクラスのメンバー全員を見渡せる位置に立ちました。
実は、その直前からもう既にはっきりと「あるシーン」が見えてきていたのですが、関連性が分からなかったためそれは一旦脇に置いて、とりあえず目の前にいるメンバーたちに集中していました。
と、ほどなくして70代くらいのやや小柄な髪の短い女性が現れてくれました。
「レンガ色のセーターを着て金のネックレスを誇らしげに首から下げています。まるで孫の授業参観に来ました!という感じでお洒落をしてきているみたいです」
おばあ様の姿を描写しながら、すぐに私は不思議なことに気が付きました。なぜかおばあ様の後ろに重なるようにして、先ほどから感じていた「あるシーン」がダブって見えるのです。
「おばあ様の後ろに『沢に滑落していく男性』が重なって見えます。そんなに深刻な感じではないけれど、高い所から低い所へ落ちてしまったような……登山とか」
そう言いかけたとき、メンバーの一人から手が挙がりました。どうやら思い当たる方がいたようです。
それでもニコニコと笑っていたおばあ様
おばあ様の背後に映し出されるシーンはずっと同じ状態で、まるで超スローモーションのように動きが止まっている感じに見えました。
足元が不確かな中、木々の枝の間を身体が斜めになって落ちかけていく男性。ずっとそのシーンのままなので、下まで落ちてしまったことが見えている訳ではありません。けれどもなぜか『滑落』『沢』という言葉だけはスッと頭の中に入ってきました。
それでもおばあ様はニコニコと笑っているので、私はその男性のことを「そんなに深刻な感じではない」と受け取ったんですよね。登山中に足を滑らせた経験がある男性がお身内にいる方、というエビデンスを示したかっただけなんだろうと。
おばあ様から伝えられたメッセージもとても前向きな内容で、(プライベートな事柄なので詳細は割愛させて頂きますが)Cさんの今後の生き方を応援するようなエネルギーに溢れていました。
と、そんな感じで私のデモンストレーション実習は無難に終了した、かに思えたのですが……。
デモンストレーション終了後、Cさんの口から語られた事実
クラスが終わり、教室を出る時にCさんが私に声をかけてきてくれました。
「夕貴さん、あの、さっきの話……」
「ああ、えーと登山のこと?」
「そう、夕貴さんはあのニュースもしかしたらご存知かなーと思って。テレビでも報じられたから」
「えっ?あの男性のこと?ごめん私テレビ全然見ないから知らなかったけど、亡くなったの?最近?」
「そうなんです。それで私、今日(教室に)来てくれますようにって家でずっとお願いしていたんです」
聞けば、その男性は少し前に滑落事故に遭って亡くなってしまったのだそうで、その場所は私の居住地の近くだとのこと。東京では取り上げられなかったものの、私の住む地域のローカルニュースでは大きく報じられていたそうです。
亡くなってすぐの故人はこういう場に現れることは少ないのですが、私がその地域に住んでいることを知っていた彼女は、もしかしたら(私が)通信を取ることができるかもしれないと思ったのでしょう。天国のその男性に「今日のクラスの時間に現れて欲しい」とお願いしていたようです。
「それがピンポイントで夕貴さんのところに来たから……さっき夕貴さんが言った通りそのまんまで……あの、それ主人なんです」
「えっ、――ご主人?」
おばあ様が見せてくれていた光景の意味
その言葉を聞いて、私は絶句しました。そしてCさんの想い、おばあ様の笑顔などが一気に押し寄せてきて、しばらく涙が止まりませんでした。
落ちていく過程が全て見えた訳ではありませんが、Cさんのご主人がその瞬間に目に焼き付けていた光景が手に取るように分かりました。そして気が付いた時にはもう『魂として』沢のある地面の上にいて、痛みや衝撃などはほとんど感じていなかったという印象を受けました。
Cさんの話では、デモンストレーションに現れた女性はご主人の血の繋がらない(後妻に入られた)おばあ様で、このおばあ様ご自身もまさに私が住む地域に住んでいらしたとのこと。つまり、私は今回「地元繋がり」というご縁により、選ばれるべくしてこのお役目を頂いたのだということになります。
Cさんの願い通りにピンポイントで私がこの通信を行ったことは、すなわち「この霊界通信が本物であるということ、そしてCさんの想いがちゃんとご主人に届いていること」を意味しています。これはCさんにとっては何にも勝る、素晴らしいエビデンス(証拠)になったのではないでしょうか。
もしかしたらご主人は私と直接通信を取ろうとしていたかもしれませんが、コネクトがうまくいかず、結果的におばあ様が間に入って取り持ってくださったのかもしれません。おばあ様は終始ニコニコと笑っていらしたので、ご主人が天国で穏やかに過ごしていることは間違いないと思います。
そして伝えられたもののうち、何よりも重要なメッセージ――それは「Cさんがこのクラスで学んでいることを、おばあ様が誇らしげに見守っている」ということです。
「人生の設計図」をいつか懐かしく振り返る日を信じて
ご主人のことはあまりにも辛い出来事で、私には何もかける言葉が見つかりませんが、きっと将来Cさんは良いミディアムになるだろうなと思います。
おばあ様がまるで授業参観に来た父兄のような姿で登場したのは、Cさんの学びが人生上計画されたものであること、この先とても大切なお役目を授かっていることを示しているように思えてなりません。そしてご主人もきっとおばあ様と同じ気持ちであるはずです。
実はCさんには伝えていなかったのですが、私自身もこの通信によって大切な示唆を頂きました。というのも、Cさんと同じように、私も授業が始まる前に祈っていたことがあったのです。
ミディアムシップを学び始めてからちょうど丸4年が経ったあの日、グリーフケアへの道を本気で歩き出すために、霊界の道具として私を使って頂けるように指導霊様たちにお願いしていたのですね。
お身内を亡くされた方々のための、霊的アプローチによるグリーフケア。それが私の目指す最終目標であり、人生の目的とも使命ともいえる到着地点だと思っています。今回のこの出来事は、私にとっても進むべき道への第一歩を踏み出した「記念日」のような役割を果たしてくれました。
人生上には辛いこと、苦しみを感じることが何度も訪れます。けれどもその経験の中で、私たちは生まれてきた意味に気付き、何を成し遂げるべきかを知るものなのかもしれません。
私にもいつの日か、この人生の設計図を懐かしく振り返る日が来るだろうと思います。その日を信じ、残りの人生を精いっぱいに生きていこうと心に誓いました。
(今回、このお話の掲載をご快諾くださったCさんに心より御礼申し上げます)