心と身体

断れない、強く言えない私。それは自分が悪いの?~HSPという性質

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セールスや勧誘に引っかかってばかりいた若かりし頃

 
私は人に何かを頼まれるのが昔から苦手でした。理由は「断れない」から。
些細なことなら別にいいのですが、困った事態になると分かっていることでもとにかく断れない。
たとえば高額商品の訪問販売など、これまでに買ってしまったワースト3は20万円のサプリと40万円のスチームクリーナー、あと家のリフォームで300万円ってのもありましたね。

どれも笑い事では済まされない金額なのですが、本当に購入してしまったものばかりです。それ以外にも数千~数万円程度のものなら日常茶飯事で、美容院の帰りにデパートのコスメ売り場へ行っただけで、合計4回メイクさせられ、計4万円の化粧品一式を手にして帰って来たことも……。
 

それから宗教の勧誘にも困っていましたね。見知らぬ女性が「聖書の一節を読むので聞いてください」と突然訪ねてきても、無下にドアを閉めることが出来ず、玄関先で話を聞くこと約30分。
それからその方は度々やってくるようになり、手作りのチラシみたいなものを毎回手渡されるようになりました。その訪問は私がその家を引っ越すまで続きました。(その当時は賃貸だったので、その点は助かった…)

そんな自分にほとほと嫌気が差し、若かりし頃の私は本当に苦しい思いをしていましたね。
 

何よりこたえたのは人間関係で利用され続けたこと

 
利用され続けた、と書くとちょっと語弊があるかもしれませんが(相手に悪意がないケースの方が多いので)、自分の時間を割いて何時間も悩みのある友人の電話に付き合ったり、毎日毎日同じ相談をしてくるLINEに返信し続けたり、こちらもやることがあるのに滞ってしまい、疲弊してしまったことも少なくありませんでした。
 

弱っている人の辛さや苦しさはよく分かるし、それを無慈悲に見て見ぬふりをすることはとても出来なかった。でもそういう人に限ってこちらが弱っている時には全く無関心だったりして、何というか、持ちつ持たれつの関係性ではないんですよね。相談相手として信頼されているというより、振り回されている感じの方が強かった。

それをまた別の友人にグチったところで、「嫌なら聞かなければいいんじゃない?」なんて言われてかえって悶々とするだけで……。
嫌なわけじゃないんですよね。ただ一方的な奉仕になってしまっていることに相手が気付かないのが辛いんです。そしてその重荷を理解してくれる人が誰もいない、ということも。

断れない自分が悪いのかな、何でも受け入れるお人好しな性格ってわけでは決してないんだけど、人にはそう思われやすいのかな、と一人でずっと悩み続けていましたね。
 

依存的・嫌われるのが怖いなど心理関連の記事には違和感ばかり

 
ネットで「断れない性格」などと検索すると、『断れない人の心理と断れない性格を変える方法』みたいな記事がたくさんヒットします。
でもどれもこれも、読んでみると筆者の思い込みというか、一般論で書かれた記事だな~というがっかり感で残念な気持ちになります。

「断って関係が悪くなることを避けたい、人から認められたい、気が弱い、気を遣い過ぎる」など、確かにそういう部分もなくはないですが、私的にはほとんど違和感しか感じません。
むしろベタベタした依存関係は苦手だし、別に自分が気が弱い人間だとも思いません。そもそも訪問販売の人相手に、良く思われたいとか認められようとかなんて全く思わないし。

そんな中、最近になってHSPという概念を知り、ようやく自分のこの性質が腑に落ちたのです。
 

 

HSP…生まれつき周囲の刺激に敏感な人

 
HSPについては既にネット上でたくさん解説されているため、ここで詳しい説明はしませんが、ともかく脳神経学的に『脳の偏桃体が活発で、生まれつき周囲の刺激に敏感な人』と定義されたHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)という言葉を知ったのは喜びでした。
HSPの人には「断ることが苦手」という特性もあるそうです。この概念によって、性格の欠陥だと思っていたものが単なる性質だと分かったことは大きかった。

HSPは病気ではないので医師の治療を受けているわけでもなく、あくまでも自己診断に過ぎないのですが、まあ実生活に支障が出ていることは事実ですからね。
子供の頃は毎月高熱を出して学校へ行くのにドクターストップがかかってしまい、数か月間自宅療養するなどけっこう大変でした。(これはHSPというよりエンパス傾向が原因かもしれませんが)
 

共感性が高いということ、それ故に他者との間に健全な境界を作れないということ、それは病気ではなく特性でしかないことで、難しいなりにトレーニングや何らかの方策を講じることは出来そうです。
実際、年齢を重ねるごとにだんだん断れるようにもなってきましたしね。訪問販売についてはインターホンを設置して、ドアを開けずに対応出来るようにもしました。
 

HSPを免罪符にして自己憐憫に浸らないようにしたい

 
ただ、私はHSPそのものを特別視したくないという気持ちが結構強いです。
私自身も今までかなり苦しんできたし、今でもパニックを起こしそうになるほど苦しんでいますが(特に音や密閉空間、集合体を見るのが苦手。広場恐怖症もあり、パニック発作寸前の状態になって歯科治療の診察台を下りて帰ってきてしまったこともあります)、だからといって自分を憐れみそのことばかりに意識を向けて暮らしたくはありません。

何のためにその感受性の強さを持って生まれ、何を体験したいと思って地上に降りて来たのか。
それはきめ細やかな優しさや温かな交流かもしれないし、人の心を理解し包んであげられるだけの強さを身に着けることかもしれません。
自分の味わった苦しみを人と分かち合い、必要な分だけ手を差し伸べたい。少なくとも今、こうして占い師をしているのにHSPという性質はとても役立っています。
私はそのためにわざわざそういう性質を身に着けて生まれてきたんだろうな、と思えるくらい。
 

人に利用され続けて苦しんだことも、ある意味良いレッスンにはなりました。まだしっかり断れるようになったとは言えないけれど、そんな自分も今は嫌いじゃない(笑)
残りの人生、少しでも誰かのために(建設的に)役に立てるように、自分を活かしていけたらいいなって思います。
たぶん、この仕事はこのまま一生続けていくんだろうな~……(^^;
 

夕貴

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占い鑑定士&ライター。
英国流近代スピリチュアリズムを学びつつ、肩肘張らない暮らしの中のスピリチュアルを実践中。Twittreフォローお待ちしてます!

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