土星逆行期間は「逃げてきた課題」に向き合わされるとき
2019年4月30日から9月18日までの期間、ホロスコープ上では土星が逆行します。
土星の逆行中は、自分自身の苦手意識やコンプレックスが浮き彫りにされたり、
取り組むべき課題に否応なく向き合わされたりと、
厳しい現実を直視せざるを得ないような出来事が少なくありません。
土星が逆行すると、普段なら見てみぬふりをして来たことがどうにも放置できなくなり、
まるで「苦手科目強化指導期間」のような状況を突き付けられてしまうのですね。
この土星が「逆行を始める前の地点」に戻るのは、順行になってからもまだ3か月以上も先のこと。
完全に戻りきるまでの期間は、いわば強化特訓の復習期間といったところでしょうか。
「土星の逆行が終わった―!バンザーイ!!これでこの課題ともオサラバだ!」
――とはならないのがこの期間の妙味でもあります(笑)
水星のような移動速度の速い天体の場合はこの期間を抜けるのも早いですが、
土星ともなると、動きが遅い分だけ、身に着けた実力の確認に要する期間も長期に渡ります。
まあ、あまり占星術的な説明を長々と書いても分かりにくいでしょうから、
ここで私の知人のある男性が、土星逆行の中で体験したというお話を……。
大嫌いな上司の存在に強いストレスを感じていたKさん
その当時、私は何度かその男性(仮にKさんとしましょう)を鑑定していたのですが、
2015年3月頃から、Kさんの出生図のASC上で天空の土星が逆行~順行を繰り返していました。
先に書いた通り、土星の場合は「逆行が終わればパッと万事解決!」という訳ではなく、
逆行期間に身に着けたことの確認に長い時間を要します。
しかも土星は重要なアングルであるASC付近を何度も行ったり来たりしていましたから、
その間のKさんの背負う責任やストレスは相当なものであっただろうことが推測できます。
(※他の惑星のアスペクト等、絡みも色々ありますが、ここでは土星に絞って書いています)
そんなKさんには、どうしても苦手な上司がいました。
「これまではいい人だったのに、役職についてから突然人が変わったようになってしまった」
その人のことをそんな風に表現していました。
その苦手な上司の存在がKさんに与える重圧――
実はそれこそが、Kさんの人間性を鍛え、人としての器を大きく広げるための試金石だったのです。
土星の逆行終了直後、二度も交通事故スレスレのニアミスに遭遇!
鑑定中、私は8月13日に土星が順行に戻ること、けれども復習期間はまだ続くことを伝えました。
さんざん苦しんできたKさんは、試練の星である土星の逆行終了が相当嬉しかったのでしょう、
「やっとこの後ろ向きの状況が前進し始めるのか!」と、 心底ホッとした表情をしていました。
ところが、そのまさに土星が逆行を終えた直後、車を運転していたKさんは
何とたった1時間半の間に、二度も事故スレスレのニアミスに遭遇してしまったのです!
どちらも交差点から信号無視の車が急に飛び出して来た、といった状況だったようですが、
「これから運が良くなるんじゃなかったの?」 とKさんはすっかりご機嫌ナナメ。
鑑定の中で、私はKさんにこんな風に伝えていました。
「これから11月下旬にかけて、土星が何度も逆行している間に出来てしまった歪(ひずみ)を元に戻すための動きが色々と起きてくるかもしれない。つまり、膿(うみ)出し期間ということ」
――そう、土星が順行に戻ってもすぐにパッと運が切り替わる訳ではなく、
まずは「取り組んで来た課題から見えてきた問題点のおさらい」をしなければならないのです。
でも、彼はすぐに運勢が上昇するのだと思ってしまったんですね。(まあ、無理もないですが)
一見不運に思えることが「運勢の歪みのデトックス」である可能性も
今回のニアミスは、Kさんがため込んできた「怒りの放出」が現象化されたものかもしれません。
彼の中にあった怒りや闘争心が、車がぶつかる状態ギリギリのニアミスとして現れたのでしょう。
それは一見、現象としてはイヤな出来事、不運なことのように思えるかもしれませんが、
私には「このま放置したらもっとひどくなるはずだったものが、膿出しとして軽い形で外に出た」
という風に思えてなりませんでした。つまり、大きな目で見れば事態は良い方向へ向かっているのです。
苦手な上司との向き合い方にKさんの「人としての器」が試されていること、 そして、
わざわざ嫌な役回りを演じてくれているその上司こそ、 Kさんの人生を向上させる師であること……
私の話を聞いて、何か深く感じるものがあったのでしょうか。
その後、Kさんの口からとても素晴らしい後日談が語られることになりました。
こちらの心情が変化したとたんに相手の態度も軟化した!
Kさんは、本当はその上司の顔を見るのも口をきくのも嫌なくらい苦手だったらしいのですが、
あるときふと、何だかその人が可哀想に思えてきたようなのです。
突然責任ある立場に抜擢され、高圧的な態度で部下にプレッシャーをかけ始めたその人。
Kさんの方がずっとキャリアも長く、知識も経験も豊富だっただけに
「この人が上司なんてあり得ない」と、憤まんやるかたない思いを抱えていたのですが……。
「でも、この人だって好きでこうなった訳じゃない。この状態に置かれたら俺だってこうなるかもしれない」
ふとそんなことを思い、たまたまある席で顔を合わせたときに世間話を持ちかけてみたのだそう。
すると、ごく普通のその年代の男性らしい、生活の中の小さなグチや悩みなど、
今の立場に着く前の「その人の素顔」があふれんばかりに返ってきたそうです!
「その人、今度は俺に仕事のことを色々相談してくるようになった。ほんとにびっくりだよ」
――Kさんの今の状況です。
土星が示す課題は「人生の幅」を広げるために必要な学び
こちらが苦手意識を持てば持つほど、相手を「悪者」に仕立て上げてしまう。
たとえ相手の方からプレッシャーをかけてきたり嫌味な態度を見せてきたりしたとしても、
そうなるまでに相手が受けた苦悩や、そうなるための理由だって必ずある――。
相手を悪としてバッサリ切るのではなく、一人の人間として受け入れた上で
「業務上必要なことはきちんと伝える、仕事に私情を交えない」
それを心がけるようになったKさんは、あれほど苦手だった気持ちがすっかり消えてしまったのだそう。
これは本当に素晴らしい、「土星が示す苦手科目克服」の成果だと言えるでしょう。
Kさんは元々、仲間のために先頭切って道を切り開くという運勢の持ち主でしたが、
そのためにも私情によって敵味方を分けてしまうようなやり方を変え、
もっとグローバルな視点を持つべく、自身の器を広げることが必要だったのです。
蟹座に主要天体が集まっているKさんにとって、それは相当難しいことには違いありません。
土星が示す課題とは、イコール生まれ持った自分自身の弱点を鍛えるという学び。
逃げ続けていた課題に向き合わされる――
そんな時こそ真剣に自分を見つめ、エゴを捨てる努力をすることをオススメします。
ひたすら苦しんで努力をしたぶん、後に必ず大きなご褒美となって戻ってくるはず!
それは星が与える試練などではなく、自分自身が生まれる前に決めてきた人生のテーマです。
私たちは、それを体験し 克服してより素晴らしい人生を歩むために、
星が示す事象が現れる時を「わざわざ選んで」この世に生まれて来ているのですから。
(この記事は別ブログの過去記事から転記・加筆修正したものです)